東宝(9602)の投資判断等

東宝は2016年版100万円コースで昨年、2019年5月15日に4595円で買い推奨し、7月25日に4250円でロスカットした銘柄です。

その後、2016年100万円コースでは、8月にアドバンテストを4165円で買い推奨し、今年の1月30日に5790円で売り推奨。3月25日にレーザーテックを4820円で買い推奨し、現時点の株価は9280円まで上昇しています。

東宝の現在の株価は4520円ですから、最初の買い推奨時点の水準に戻ってきた段階です。
この間、アドバンテストとレーザーテックに銘柄を入れ替えたことで、資産は倍増しましたが、もし、東宝を保有持続していたら、全く資産が増えていなかったことになります。
いかに放置が悪く、ロスカットや売却、銘柄入れ替えが重要か、よく分かる事例だと思います。

東宝の現在の株価水準は、コロナ禍による調整で3000円台まで下落していましたが、大ヒット作の登場もあり、ここに来て4000円台の水準で推移しています。

一度、見切った銘柄をなぜ勧めるのか、という声が聞こえそうですが、弊社では、東宝が中期的に大きな可能性を秘めた銘柄だという評価を変えていませんでした。

想定以上に上値が重く、一度は撤退しましたが、同社のコンテンツ供給力の高さや海外展開への可能性など、再度の買いタイミングを図っていたことも確かです。

サポートには、ロスカットも、大きな値幅取りも両方とも重要で、特にタイミングが最も重要となります。

この1年間の結果を見れば、アドバンテストやレーザーテックへの乗り越えが正解でした。ですが、今後はまた違う判断が必要になります。

では、なぜ今、東宝なのか?

ご存知の通り、アメリカ大統領選や新型コロナウィルスのワクチン開発の報などにより、相場の空気は一変しています。

新たな世界秩序や脱コロナの社会へ向けての期待が市場、そして社会全体に芽吹きだしています。

奇しくも、10月に公開された配給作品の「鬼滅の刃」は空前の人気を呼び、公開わずか24日間で200億円突破という、これまでの日本映画界の常識を覆すような大ヒットとなっています。

これにはもちろん、作品のエンタテイメント性の高さもありますが、背景にあるのは、コロナ疲れによる多くの人々の娯楽への渇望があるのではないでしょうか。

映画 を人々が求めていた、という証でもありましょう。

加えて年末に向け、コロナ禍で公開が先延ばしされていた話題作、特にアニメーションの大作が目白押しです。映画は大ヒット作が生まれると、連鎖的にヒット作が生まれる傾向がありますが、これは劇場で映画の予告を見た人々が、次の公開作にも足を運ぶからです。

さらに来年以降、もし、ワクチンの供給が軌道に乗れば、アメリカ経済が真っ先に蘇生していきます。そうなれば、やはり製作が滞り、公開を控えていたハリウッド大作も続々と公開されていくでしょう。

そして、その先には、昨年の同社の推奨理由である、海外展開にも期待が持てます。映画業界はもちろん、日本のコンテンツ業界の核でもある東宝には、それだけの潜在力があるのです。

ただし、新型コロナの感染拡大はこの冬が山場となりそうですし、同社の中間決算では、上方修正をしたとは言え、売上高1650億円(前期比37.2%減)、営業利益140億円(同73.5%減)、純利益90億円(同75.4%減)という業績です。

現時点でのPERも89.2倍と、この業界にしては異常に高い状態で、過大評価は危険です。

相場の大きな転換期に、コロナ克服と経済の本格再開を期待した、可能性を広げるための買い推奨だとご承知ください。